成長期の子供の身体は骨や筋肉が未発達のため、
様々な障害を起こしやすくなっているのはご存知だと思います!
その様々な障害の中の一つとして
『骨端症(こったんしょう)』があります。
スポーツをしている成長期のお子さんで、
「特に原因が思い当たらないけど、身体が痛い……」
と訴えることはありませんか?
もしかしたら、それは『骨端症』かもしれません……
『骨端症』という障害は、
一般の方には初めて聞いたという方が多いかと思います。
そこで今回は、成長期のお子さんを持つ方やスポーツ指導者の方に
特に知って頂きたい『骨端症』について解説したいと思います!
目次
『骨端症』とは成長期に成長軟骨の部分で起こる、
身体の様々な部分に発症する成長期特有の障害です。
なぜ成長期に起こりやすいのかを知っていただく前に、
まずは成長に伴う骨の変化について理解して頂きたいと思います!
成長期とは、一般的には
思春期を迎えた後の3~4年間の事を言います。
・女子は小学校高学年~中学生
・男子は中学生~高校生
成長期は女子の方が少し早く来ます。
この時期の骨は、まだ軟骨成分が多い柔らかい骨の状態です。
「身長が伸びる」ということは「骨が伸びる」ということです。
もちろん、伸び幅や伸びる時期などには
個人差があるので一概には言えませんが、
成長期では身長が急激に伸びます。
成長線というものを聞いたことはありますか?
成長線というのは骨の末端部分にあるもので、
正式には『骨端線(こったんせん)』と呼ばれます。
この骨端線が骨の伸びる過程で大変重要な部分になります。
骨端線には、
骨芽細胞(こつがさいぼう)と呼ばれる骨を作る細胞がたくさんあり、
この骨芽細胞が増えることで骨が伸びていきます。
成長期に入ると成長ホルモンの分泌が盛んになり、
骨芽細胞に作用すると同時に、
骨芽細胞がカルシウムなどの栄養素を取り込んで
どんどん細胞が増えていき、骨が伸びていきます。
身長が伸びることで骨芽細胞が増え、栄養を取り込むことにより
柔らかい軟骨組織だった骨から、硬くて頑丈な骨組織に変化します。
成長期の骨は柔らかく、骨への血流が不足しやすい状態ですが、
身長が伸びきった頃には骨は硬く頑丈な骨になっています。
そして、
骨芽細胞の増殖が止まると骨端線は消え、身長の伸びは止まります。
だいたい
・男子は16歳前後
・女子は15歳前後
で骨端線が閉じます。
しかし先程も言いましたが、身長の伸びには個人差があり、
20歳になっても骨端線が閉じず、身長が伸びる人もいます。
このように、成長とともに骨は変化していきます。
つまり、なぜ成長期に骨端症が起こりやすいかと言うと、
既に上述したように、
骨が柔らかく、さらに血流が不足しやすいからなのです。
……少し難しい話になりましたね(;゚Д゚)
以上の成長期に発症する骨端症のメカニズムを踏まえて、
今度は部位別に骨端症を見ていきましょう!
骨端症は身体の様々な部位に起こり、
部位によって特徴が変わってきます。
部位別に1つ1つ解説していきます!
セーバー病は8~12歳の男の子によく見られ、
踵の骨である踵骨(しょうこつ)に発症します。
踵骨には後方のアキレス腱、
足の裏の足底筋膜(そくていきんまく)が付着しています。
ダッシュやジャンプなどを繰り返し行うことで、
踵骨がアキレス腱と足底筋膜に引っ張られて剥がれてしまいます。
また、足底アーチが落ちる偏平足(へんぺいそく)も足部への負担が大きくなり、
セーバー病の原因になります。
症状は、踵骨後方の腫れや圧痛、
運動後や朝起きたときの痛みがみられます。
さらに悪化すると、
痛みで踵を地面につけられず、つま先で歩くようになります。
これを尖足歩行(せんそくほこう)と言います。
治療としては、踵への負荷を軽減することが目的となります。
踵への衝撃を吸収するために踵部にパッドを入れる、
偏平足の場合は専用のインソールを入れると効果的でしょう。
また、下腿三頭筋はアキレス腱となって踵骨に付着します。
そのため下腿三頭筋の柔軟性が低下していると障害につながるので、
ストレッチも行っていき柔軟性を獲得することが重要です!
足部の舟状骨(しゅうじょうこつ)という骨に起こる骨端症で、
未就学の5~7歳くらいの男の子に多いと言われています。
何らかの原因により舟状骨への血流が行き届かなくなり、
骨壊死(こつえし)を起こす障害です。
舟状骨は5~6歳くらいまでは血流が貧しいと言われており、
その影響もあるかもしれません。
やはりこれも体重をかけるのを控え、
足底アーチを支えるようにインソールを入れることが良いでしょう。
治療をしていくと、骨は1~2年くらいで自然に良くなっていきます。
歩行時に一番負荷のかかる第2中足骨に起こることが多いですが、
第3中足骨に起こることもあります。
好発年齢は12~18歳で、
女性は男性に比べ、3~4倍多くみられます。
スポーツ時などに、
繰り返し中足骨頭に圧迫が加わって血行不良に陥り、
骨壊死を起こすものです。
また、踵の高い靴や、幅の狭い靴を履き続けることで
足部に負担がかかり、障害へつながることもあります。
症状としては、歩行時に前足部に痛みが走り、
足の指の人差し指や中指の付け根に腫れ、圧痛があります。
また、関節の変形を起こすこともあり、自然に良くなることは少なく、
変形が残って痛みがあれば手術することもあります。
これは聞いたことがある方も多いと思います!
膝の下の脛骨粗面(けいこつそめん)という所には
大腿四頭筋という筋肉の腱が付着します。
成長期ではこの部分が軟骨になっており、ダッシュやジャンプをすることで
大腿四頭筋腱が引っ張られ、骨が突出して痛みが出ます。
10~15歳の男子に多く発生し、運動時に痛みが強く出ます。
これもやはり安静にするのが一番です。
急激に身長が伸びる時期は、
骨の伸びに筋肉が追い付かずに柔軟性が低下します。
これが原因にもなりますので、
普段から大腿四頭筋のストレッチを行い、
柔軟にしておくことが予防になります。
10代の男子に多く見られ、
・肘関節
・股関節
・膝関節
・足関節
によく発生します。
骨の表面を覆う関節軟骨と、その下にある骨の一部が
栄養障害などの原因で壊死して剥がれ落ちる障害です。
剥がれた骨軟骨片(こつなんこつへん)は、
関節内遊離体(かんせつないゆうりたい)、もしくは関節ネズミと呼ばれます。
これは関節の曲げ伸ばしを行うことで関節の中を動き回り、
時に関節に挟まり、関節の動きを妨げるロッキングを起こします。
このロッキングは激痛を伴います。
主に5~8歳の男の子に起こる障害で、
股関節の痛み、時には太ももや膝にも痛みを訴えることもあります。
大腿骨頭への血流が不足し、壊死を起こしてしまう障害です。
2~3年以内に回復しますが、回復中に体重をかけすぎてしまうと
骨が変形した状態で治ってしまいます。
痛みがある内は、なるべく体重をかけないようにします。
手の平の根元にある手根骨(しゅこんこつ)の1つ、
月状骨(げつじょうこつ)に何らかの原因で血流障害が起こり、
月状骨が壊死を起こす障害です。
成長期に限らず成人になっても、
剣道、空手、テニスなど手を使う競技や
手をよく使う職業の人にも多く発症します。
他にも前腕の2本の骨、
橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の長さのバランスの違いで
発症することもあります。
症状は、手関節の痛み、腫脹です。
今回は骨端症について解説しましたが、
全部を理解するには少し時間がかかるかもしれません……
骨端症は身体の様々な部位に発症し、
部位によって痛みが出る時期に違いがありますし、
そもそも、成長期の身体はデリケートで、
骨端症以外でも痛みの原因は様々あります。
そのため、お子さんの痛みのサインを見逃すと、
成長に影響を及ぼすことにもなりかねないので、
何か変化や違和感がないか、日々コミュニケーションをとり、
何かあった場合は早めの対応をすることが大切です!
親御さんやスポーツ指導者には
こういった障害があるということを認識して頂いて、
子供達が今後も元気にスポーツや運動をするために、
是非とも役立てて頂きたいと思います。
今回ご紹介した骨端症を始めとする、
様々な身体の痛みや悩みでお悩みの方は、
三軒茶屋にあります、当あすウェルスポーツ鍼灸整骨院に
是非お気軽にご相談下さい!